東京大学大学院工学系研究科マテリアル工学専攻

森田研究室

~材料製造・循環工学研究室~

太陽電池級シリコン精製とシリサイド生成プロセス

溶融シリコンからのホウ素除去プロセス

金属級シリコン(純度98~99%)を太陽電池級シリコン(純度6N~7N)に直接アップグレードする冶金法精錬は、太陽電池産業におけるシリコン供給価格を大きく引き下げる可能性を持っていますが、不純物ホウ素の除去が難しいことが課題となっています。私たちは、ガス吹き込み法やスラグ精錬法による新しいホウ素除去プロセスを開発しまし、現在は化学熱力学や反応速度論に基づくプロセス効率の向上に取り組んでいます。

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溶融シリコンによる酸化チタン還元反応を用いた Ti5Si3 製造プロセス

ケイ化チタン (Ti5Si3) は新しい超高温構造材料として期待されているマテリアルです。私たちは、チタン含有スラグと溶融シリコンを高温下で反応させることによりTi5Si3を製造する、コストと品質の両方において優れた新しいプロセスを開発しました。チタン含有スラグの熱力学的性質やプロセスの速度論に関する研究により、スラグ組成や反応温度がプロセスの効率に与える影響が明らかになっています。

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キャリア補償による太陽電池用シリコンの特性向上

ホウ素とリンは、冶金法精錬で完全に除去するのが非常に難しい不純物元素です。しかし、ドナーとアクセプタが共存することで起こるキャリア補償を利用することで、たとえホウ素やリンの濃度が高くても、太陽電池として十分な特性を実現することが可能です。

ホウ素とリンの偏析係数の違いのため、一方向凝固により得られたシリコンはキャリア濃度分布が不均一となり、電気的な特性も悪くなります。ホウ素とリンの両方を含んだシリコンに適切な量のアルミニウムを添加することでホウ素・リン・アルミニウムの間でキャリア補償を起こし、キャリア濃度分布の均一性が高く優れた電気的特性を持つサンプルを作成することに成功しています。

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